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【HP】怪鳥の子

第58章 切り裂かれた『太った婦人』


 ドラコは肩をすくめた。

「ホグズミードに行けなくて拗ねてたポッターを慰めるのも大変だっただろうなって話さ」

 ハリーの顔が険しくなる。ミラも眉をひそめた。

「寝る前に喧嘩売りに来たのか?」

 静かな声だったが、ドラコは少しも怯えなかった。
 むしろ面白そうに口角を上げる。

「事実だろう?」

 そしてわざとハリーを見ながら続けた。

「放っておいてくれ、って言ったのはポッターの方だったじゃないか」

 ハリーの表情が固まる。
 ドラコは満足そうに薄く笑った。

「それなのに今は仲良しこよしで一緒に寝ようとしている。そんなに家族ごっこが大事か?」
「マルフォイ!」

 ミラが怒鳴る。
 しかしドラコは意に介さない。

「まあ、ポッターにしては上出来じゃないか」

 灰色の瞳がハリーを見据える。

「おかげでグローヴァーの最初のホグズミードは最悪だった。かわいそうに」

 一瞬、その場の空気が止まった。ハリーは言い返せなかった。
 それを見たドラコは鼻で笑う。

「図星か?」

 ミラはじっとドラコを見た。

「……マルフォイ」
「なんだ?」
「寝袋ごと窓から放り投げられたか、それとも今夜は寝袋なしで寝るか」

 ミラは杖をドラコに向けた。
 ドラコは一瞬目を瞬かせ、それからクッと笑った。

「やってみろよ」

 クラッブとゴイルがぎょっとする。
 だがドラコは満足したように踵を返した。

「行くぞ」

 去り際、彼はもう一度だけ振り返り、

「せいぜい今夜はポッターの子守でもしてやるんだな」と言い残して、スリザリン生たちの方へ戻っていった。


 ドラコたちの姿がスリザリン生の集団の中へ消えると、ロンが盛大に顔をしかめた。

「何なんだよ、あいつ!」

 寝袋を床に放りながら、腹立たしそうに言う。
「ポッター、ポッターって突っかかってくるのはいつものことだけどさ。今日は君
にもやけに強気じゃないか?」

 ロンは不思議そうにミラを見た。
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