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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第25章 ポッピンサマーブラッシュ◉相澤消太※



「わぁ、思ったより近いね!」

立て掛けるようにして停めた2台の自転車、
両膝に手をつき息を整える山田を横目に彼女の隣へと足を踏み出して


花火が打ち上がるたびに照らされる横顔、その瞳の中にきらきらと光が映る
見つめていることに気付かれないよう俺は少しだけ後ろに下がった



「・・っ?」

俺を見上げて何かを呟いた彼女の声、大きな音に掻き消されたそれに耳を澄ますように顔を近づける


「あはは、ごめん聞こえないよね、!」

唇の動きで解読した言葉、こんなに合法的に見つめられるなんて思ってもみなくて、じっと視線を向けた


「き、れ、い、だ、ね」

伝わるようにゆっくりと唇を動かした彼女が俺の視線の温度に気付いて、慌てて目を泳がせ前を向く
同時にまた高く上がった花火、桃色に照らされるその頬の本当の色が知りたくて、風に靡く長いスカートに俺は指先を触れさせた













「ちっとは労ってくれてもいいんじゃねェの!?」

恨めしく響かせた声はちゃんとその耳に届いたらしい、振り向いて笑った彼女が手招きをしながら飛び跳ねる


花火が打ち上がるたびに照らされる横顔、その瞳の中にきらきらと光が映る
その視線をどうにかオレに向けさせたくて、視界に入り込むように彼女を覗き込んだ


「・・っ?」

届かないように態と小さく発した声、当たり前に掻き消されたそれに耳を澄ますように彼女が顔を近づける


「楽しい?」

読み取ろうとした彼女がじっと俺の唇を捉えて、こんな方法もあったのかと思わず笑い声を漏らした


「き、れ、い、だ、ね」

伝わるようにゆっくりと唇を動かすと目を輝かせた彼女が嬉しそうに笑って、オレはますます小さな声を出す
同時にまた高く上がった花火、すべてを掻き消す音の中でもオレの声だけを求めて欲しくて、ふわりと揺れた髪の甘い香りを静かに吸い込んだ











見えない今なら


聞こえない今なら


言えるかもしれない、空を見上げた彼女越しに熱を持った視線がぶつかる
言葉にしなくても考えている事が筒抜けな希少な存在、自身と正反対の髪色がやけに映えて見えた
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