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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第24章 鳥かごは無色透明《後編》 ◉鷹見啓悟※



「わぁ、ちゃんとアヒルも居る・・!」

ほわほわと上がる湯気の中、優雅に揺れる黄色がその手に掬い上げられる
首筋には新しく咲かせた紅い印、鼻先でなぞり後ろから覗き込むと、彼女が躊躇いながら小さな声を発した



「・・このまま、その・・、ここに、ずっと」

閉じ込められ、る、付きそうで付かない疑問符、見つめた美しい瞳の中に恐怖が揺れて俺は浅く息を吐いた



「まさかまさか!そんな事しませんよ」

「そ、そうなの、?私てっきり、」

「人聞き悪いなぁ、監禁なんて」

貴女から自由を奪うわけない、慰めるように頬を寄せるとほっとしたように下がった眉
怖がらせた償いに思いを巡らせる一方で、まだどこか鎮まらない怒りが顔を覗かせる


「・・って言うのは建前で、本当は」

注ぎ込むように耳元で囁くと少しだけ強張った細い肩、これくらいの仕返しは許して下さい


「冗談ですよ」

「・・っ、」


「広い空の下で笑う貴女を好きになったから」

鳥籠に入れてしまうのは可哀想だ、不安そうに見上げたその額に口付けを落とすと、彼女は照れたように視線を落とした


「・・本、心?」

「心外だなぁ、窮屈な思いさせたくないですよ」





———その分、鳥籠を広げることにしたんで、心の中でそう付け加えて


付けっぱなしにできるの欲しがってたでしょ、
以前贈ったシンプルなピアスは今この時すら貴女の居場所を俺に教えてくれる


どこに居ても何をしていても、貴女は見えない籠の中、





「・・クラス担当の女性の話、したっけ」

相澤先生の事が好きだった素敵な人、
気まずそうに逸らされた視線、まるで鼻歌を歌うように上機嫌な表情を作った俺は彼女の口元に意識を集中させた


「付き纏い、がひどかったみたいで」

相澤先生がすごく怒って、突き放す言い方をして、それで、
自責の念を感じているのだろう、段々と小さくなるその声に耳を澄ませた



「・・でもね、彼女を見て少し思ったの」

きっとそれ位好きだったんだよ、綺麗な感情だけじゃないもん、視線を落としまるで自分が失恋したかのように悲しげな声を響かせる彼女は
世界一優しくて、美しくて、それでいて愚かだ



「だって私なんて、」

そう呟いた彼女が躊躇うように口を噤む、優しく促すように触れた指先をぎゅっと握ると、振り向いたその瞳が不安気に揺れた
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