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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第24章 鳥かごは無色透明《後編》 ◉鷹見啓悟※



「・・剛翼が無くて嬉しいなんて、最低だよね」


「っ、」

「空はもう、私から啓悟くんを奪えない」

大事な個性だったってわかってるのに、こんなこと思っちゃうんだよ、唇を噛んだ彼女の目に小さな光が浮かぶ



「ごめん、ね」










———飛び回ってるとこ、観て欲しかったです、





「自由を愛する貴方を、籠に入れちゃいたいって」

たまにそんな風に考えちゃうんだ、幻滅するでしょ、呟いた声と同時に落ちた雫が水面を少しだけ揺らした



「・・もしかしたら、彼女も最初は、」

「こっち向いて」


「んっ、んん」

眉根を寄せ言葉を遮ると掬い上げるように貪った唇、艶やかな髪をくしゃりと掴み押さえつけると彼女がゆっくりと目を閉じる




「・・めぐ、」

名前を呼ぶのは理性を手放す合図、重なった肌から熱が流れ込んで呼吸ごと溶け合っていく
柔らかく照らされた浴室に甘い音が響くと、漏れ出たそれを恥じるように彼女が唇を噛み締めた



「・・け、い、」


「あんまり可愛いこと言わんで下さい」

愛しくてどうにかなりそうだ、込み上げる想いがそのまま言葉となって溢れる、取り繕う必要のなくなった途方もない執着は貴女を壊してしまうかもしれないのに




「責任、取ってくださいよ」


「んあっ、わ、か・・っ」









貴女にならいつだって、喜んでこの身を差し出すから







閉じ込めて、独りにしないで



絡んだ舌が名残惜しく離れると二人を繋いだ銀の糸、溶けた瞳の彼女が肩を上下させる


「貴女が望むなら、何でも」

「・・っ、本当に何でも、くれそうだね」

「説得力あるでしょ、幾らかかったと思います?」

「ふふ、もう!怖くて聞けないよ・・」

困ったように笑った彼女が視線を落とすと、長い睫毛が影を作って
華奢な指先が優しく掴んだ黄色、柔い嘴が俺の薬指をつんつんと啄いた



「・・いつかここも、もらえる、かな」

「言いましたね、俺本気にしますよ」

実はもうカタログ取り寄せてます、耳元で囁けば驚きに見開かれた瞳、上気した頬が更に色づいていく
首筋に張り付いた髪が桃色の肌に映えて



「貴女は、俺のものです」

逃げ道を塞ぐように恭しく掬い取った左手、
抑えきれない衝動のまま歯を立てた俺は、細く美しいその指に赤を滲ませた
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