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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第24章 鳥かごは無色透明《後編》 ◉鷹見啓悟※



「さっきの部屋はおまけです、本命はこっち」

あ、靴脱いでね、驚きに振り向いた私を急かすように啓悟くんが背中を押して
突然現れた玄関スペースには二足のスリッパが揃えられている


「こ、こって」

「貴女に心地よく過ごしてほしいから」

あえて狭くしたんですよ、広いと落ち着かんでしょ、数歩進むとすぐに辿り着いた明るいリビング、初めて来たはずなのに心が落ち着くその空間にはすでに生活用品が揃えられていた



「同じ間取り、同じ家具」

いやー、巣づくり大変でした、ドアが閉まると同時にゆっくりと押し倒されたソファの上、視界に入る景色は今朝見たものと同じだ


「貴女が居て初めて、完成する」

「どうやって、こんな、・・!」

答えるつもりなどきっと無いのだろう、はぐらかすように微笑んだ優しい唇がそっと私に触れる
彼の後ろに見慣れた食器棚が見えると、戸惑いが不思議と凪いで

差し込まれた舌は甘いコーヒーの味、優しい指先が私の存在を確かめるように這った


「ここでこうしてると、」

「ん・・っ、ふ、あ」

もうどっちが自宅か分からんでしょう?、耳に注ぎ込まれるその声は懇願するように甘い


「ここが貴女の、居場所です」

「ひ、ぁ・・っ」

首筋を滑った唇が一枚ずつ布を剥いでいく、愛しさも熱も隠さない琥珀色の瞳に見つめられると身体が焼かれるように熱くて


「んあぁ・・っ、けい、・・っ」

「狂ってるでしょう」

誇張じゃないの分かってもらえました?、優しく囁かれたはずのその声には、確かな怒りが滲んでいる
ずらされた下着から私の中に届いた彼の指、甘く激しい律動が視界を揺らした


「ぁあ・・っ、あっ、ごめ、なさ・・っ!」

「何か、やましいことでも?」

きっと彼は全て知っているのだ、冷たい影が彼の顔に落ちて、乱暴に緩め投げ捨てられたネクタイが私の脚に触れる


「そうやって頬を染めて見上げて」

「んぁ・・っ、はぁ、ちが・・っ」

「あの人もこの景色を」

握りしめられた拳が小さく震えて、私の視界が透明にぼやけていく
絶えず押し寄せる快感の波が頭を痺れさせて






「・・安心させて下さいよ、泣きますよ」

顰められた眉、小さく鼻を啜る音が静かな部屋に響いて
滲んだ視界に伸ばした腕の先、差し込むように触れた柔らかな髪を私は思い切り抱き寄せた
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