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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第24章 鳥かごは無色透明《後編》 ◉鷹見啓悟※



上品で明るい色の内装、主に客間という名目で増設したこの部屋は本館とは全く異なる雰囲気だ


「あ、花瓶はあっち」

花も忘れんでね、片手を上げ指示を出すとスーツ姿の部下が頭を下げる
リモコンに触れると動いた可動式の天井、ライトを消した途端部屋全体を包んだ星空に俺は笑みを浮かべた



「いいねぇ、文句なしだ」

腰掛けた淡い色のソファは彼女の一番好きな色、花のキーホルダーが付いた鍵を受け取ると同時に短い着信音が部屋に響いて

一秒も満たずに切れたその音に、秘書が部屋を出ていく
暗闇の中その画面に触れて、俺は履歴に表示された番号を押した



「あーハイハイ、おつかれさま」

「申し訳ありません、会長」


「一週間か、上出来だよ」

「・・いえ、泳がされていたようです」

おそらく最初から、自責の念を含んだ声が喧騒の音の中ではっきりと聞こえる
顳顬を押さえて息を吐いた俺は柔らかな背凭れに背中を預けた



「・・アングラ出身の嗅覚は健在ってわけだ」

「申し訳ありません」

「いやいや、よくやってくれたよ」

伝言を預かっただろう、後で送っといて、そう言うと一瞬不自然に空いた間、俺は少しだけ圧を滲ませた


「君が見たもの”全て”を報告すること」

「承知しました」

楽しい空気が台無しだ、心の中で独り言ちて意識的に上げた口角、見上げた空には宝石が散りばめられている



「ゼリーは?」

「ご指示通りに」

「あそ、ありがと」


音を無くした端末を置くと、繊細な彫刻のテーブルに無機質なそれが似合わなくて苦笑が漏れる




———今すぐ捨てないと俺何するか分かりませんよ


捨てなかった貴女が悪い、無理矢理に笑みを作るとまた見上げた空、時折見える自由な影に自身を重ねて


「万事順調、明日が楽しみだ」

言い聞かせるように声に出した言葉が暗い部屋の中に溶ける






———啓悟くん、剛翼がなくても来ちゃうから


異論なしの全会一致、その通りです
世論や常識、正常と異常、そんなものは貴女を初めて抱いた日に置き忘れてきました



「会長、お時間が」

「あー、ごめんそれ来週で」

夜空を見上げる時間が急に欲しくなってさ、ひらひらと手を振ると静かに消えた気配

開いたパソコンには受信したばかりの顛末報告、それに目を通すと手の中に光る赤い花を強く握りしめた
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