第25章 光
そこまで思い出してから、どうしようもない焦りが沸々と湧いてきた。
そう、あたしは抵抗したのだ。
最後まで。あの人に。
ドフラミンゴの"命令"はとても聞けるようなものじゃなかったけど、それでも、いけないことをしてしまったという自覚があった。
だめ、と頭に響く声を無視して、あの人に抗った。
あたしの気持ちを全く無視した命令に腹が立って。
頭上にある檻がどうしても我慢できなくて。
あの時、あたしを不自由にするもの全てを、壊してしまいたいと思ったのだ。
トリカゴが消えるのを見て、ずっと昔にミカヅキ島にいた小鳥を思い出した。恐怖から解放されて、青空に羽ばたいたあの小さな翼を。これで自由だと、そう思った。
だけど、あたしはあんなことをしてはいけなかった。そういうふうに言われていたから。
「…どうしよう」
終わったことだ。もうどうしようもない。
でもだからこそ、焦燥感と自己嫌悪で震えが止まらなかった。
禁忌。タブー。
超えてはならない一線だと分かっていた。
自分の意思と反するところで、無意識のうちに理解していた。それを、自分の身勝手な感情で捻じ曲げてしまった。破ってしまった。
どうしようもない罪悪感が心を埋め尽くしていく。
「あたし、どうしよう…謝らないと……っ、でも…一体どうしたら…」
「いいから、落ち着け」
ひたすらに混乱するあたしの腕をローが掴む。
確かめるようにじっと見つめる瞳。
不安と恐怖に怯えた女がそこに写っていた。
とにかく、ここにいてはいけない。
どうしたらいいのか分からないけど、少なくとも今あたしがいるべきところは。
「…あたし、行かなきゃ……」
焦りに駆られてそう口に出すと、ローは僅かに目を見開いた。そして、どこか苦しそうに顔を歪める。
「どこに行くつもりだ」
「わからない…だけど、きっとここじゃない。…行かなきゃいけない気がするの……」
───だから、手を離して。
そう言おうと思ったけれど、ローの表情を見て言葉が詰まる。