第25章 光
───やばい。───────死、ぬ。
目の前に落ちた影を見て、人ごとのように思った。
純粋な殺意があたしの身体を貫いたから。
脳を内側からガンガン打ち付けられるような激しい痛みの中で、あたしは漠然と思う。
この人は本気で、あたしを殺す気だと。
躊躇いなんて一切ない。あたしを見つめるその視線には、殺意以外の感情はなにもなくて。
唯一の家族だと知った。
出会った時に、言いようのない懐かしさを覚えた。
だけど、この人は、あたしを殺すんだ。
一切迷いのない目で。
そして、あたしには、抵抗する術がない。
心が粉々に砕け散るような深い哀しみが迫ってきて、声を上げて泣きたくなる。だけど、もう、どうしようもなくて。
ドフラミンゴのサングラスに写っているのは、あたしだけど。そのサングラスの奥の瞳が見据えているのは、きっとあたしじゃない。
「役に立たんなら、もう、いい。…ロー。よく見ておけ。お前のせいでまた、死ぬぞ」
はじめから、ずっと違和感があった。
だから、その言葉を聞いてすとんと腑に落ちた。
ドフラミンゴが待っていたのは、あたしじゃなかったんだ。
この人の渇きを癒してあげられるのは、あたしじゃ、ない。
可哀想な人だ、と思う。
あなたが全てを壊したんじゃないの。
自分で壊してもまだ、本当に欲しいものが見つからない人。見つからないからまた、壊そうとしている。
───きっとあなたが一番欲しかったものは、13年前にすぐそばにあったのに。
「アウラ...!!!」
愛しい人の声がする。
ローだ。
その声を聞いて、ふと耳に蘇ってきた。
『───死ぬな』
一方的にそう言った。
彼との約束を。
───ああだめだ。あたし、こんなところで死ねない。
震える手で、最後の力を振り絞ってドフラミンゴの手に爪を立てる。
放してくれるわけがない。
だけど、諦めることはできなかった。
だって、彼が、あたしにそう言ったから。
そう、約束したから。
最後の最後まで足掻き、そして、意識が途絶えた。