第51章 モレンドに敬意を表して【渋谷事変】
伏黒や詞織と分かれた虎杖は渋谷駅に向かうべく、自動車が一台も通っていない高速道路を走っていた。そこへ、少しずつ慌てふためく悲鳴が耳に届き、虎杖は足を止めて高速道路の下を見る。
そこでは改造人間が人々を襲っていた。ハロウィンを楽しむためにコスプレしてきた人たちも、仕事の帰りにたまたま通った人たちも、襲われて、引き裂かれて、食われて、血だまりが飛び散って――……目を背けたくなるほどの光景が広がっている。
「なんつー数だよ!」
放っておくわけにはいかない。だが、全員を助ける時間はない。どうすればいいんだ。
渋谷駅は目の前……五条はもうすぐそこ、目と鼻の先だ。
虎杖はダンッと高速道路の先へ拳を打ちつける。
「明太子!」
「その語彙は――狗巻先輩‼」
高速道路の下から聞こえた言葉にそちらを見ると、狗巻 棘が「しゃけ!」と拡声器を持ってVサインをしてきた。
「頼んます!」
「しゃけしゃけ」
高速道路の柵を飛び越え、歩道橋を足場に一般道路に着地する。そして、五条の封印を解くべく、渋谷駅へ急いだ。
――22:10 虎杖 悠仁 渋谷駅構内へ
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虎杖を見送った狗巻は、拡声器のスイッチが入れる。キーンという高い機械音を聞きながら、口元を覆うネックウォーマーのジップを下ろし、拡声器を改造人間たちに向けて構えた。
「――【 動 く な 】」
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