第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
「それにしても、なんで分かったんですか? 五条先生は単独で動いてたはずでしょ」
「目撃者がいました。京都校の学生……メカ丸、でしたか。手のひらサイズの【呪骸】を操作し、彼が虎杖君と合流。その情報を虎杖君が拡散したんです。ビルの上から、渋谷中に叫んで」
あぁ、携帯が使えないから叫ぶしかなかったのか。
「メカ丸のことはよく分かんないけど、大声で叫んだのは虎杖くんらしいな。無事で安心した」
七海がメカ丸から聞いた話によると、五条を封印した呪物は五条の情報処理に時間がかかり、渋谷駅の地下五階から動かせず、敵も撤退や呪物を隠すなどの行動が取れないらしい。
「封印されても粘る辺り、ホントっぽいわね」
情報をもたらしてきたのが高専を裏切っていた京都校のメカ丸ということには引っかかるが、先ほどの男は自分たちの目的を五条 悟の『殺害』ではなく『封印』と言っていた。それが事実ならすでに目的は達成済み。
それにも関わらず、メカ丸は五条の封印を解くべく、監視の目を潜るリスクを冒しながら情報を与え、術師を動かしている。一定の信憑性はありそうだ。
一ヵ所に術師を集めて一網打尽――……にするつもりがないのであれば、だが。
「三人はここで星良さんたちを待ってください。私は禪院さんたちと地下五階に向かいます」
七海の言葉に、釘崎は順平と立ち上がった。
「それなら僕も」
「あたしも」
「駄目です」
順平と声が揃う――も、七海の固い声音が突き放す。
「で、でも……戦力は少しでも多い方が……」
順平が食い下がるが、彼は深く息を吐き出した。