第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
「は、早く先生を助けに行かないと! いや、先に虎杖くんと合流して……! えっと……!」
「吉野君、一度 落ち着いて、冷静に。先に新田さんの手当てを」
「あ……は、はい……」
【澱月】が新田をベンチへと連れて行き、順平が術式を解除する。そして、七海が新田の手当てを始めた。その手当てを受けながら、新田が「そうだ」と声を上げる。
「伊地知さんと連絡が……!」
「それなら、先ほど私が見つけ、止血処置を施しました。現着は確認していませんが、すぐに星良さんに連絡し、来てもらえるよう手配しています。五分以内に到着すると言っていたので、今頃は【反転術式】による治療を受けていることでしょう」
「じゃあ、伊地知さんは無事なんスね!」
ほっと新田が安堵の息を吐いた。
「彼は元々 術師を志していましたから」
なるほど、呪力操作ができるわけか。順平と同じようにいくらか呪力を使って防いだのかもしれない。術師を志していたとは、補助監督のイメージが強すぎて今一つピンとはこないが。
隣では順平も「そうだったんだ」と自分と似たようなリアクションをしている。
「それにしても……五条さんのことは そちらに伝わっていなかったのですね」
「私たちはすぐ室内に入ったので、そのせいっスね」
「僕、いまだに信じられないんだけど……あの五条先生が……」
それは自分とて同じだ。
いい加減でおちゃらけて、周りを振り回して楽しんでいる節のある男だったが、その強さは本物だった。自分で自分を“最強”と称するほどの自信家で、誰もがそれを認めていた。