第50章 止まらずに進むセグエンテ【渋谷事変】
「仲間の数と配置は?」
低い声で尋ねる七海に、男は「知らない」と笑い、剣で斬りつけた。さらに畳みかけるように蹴りを入れる。
そのとき、男のニヤけ顔が凍りついたのを、釘崎は見逃さなかった。
剣で斬られた場所に傷がない。それに、男の蹴りにも微動だにしない――文字通り、不動。
七海が蹴りを入れる男の足を掴む。
「仲間の、数と配置は?」
「……知らな――……」
瞬間――男は天井や床に身体を打ちつけながら弾け飛び、釘崎の後方の壁に激突した。その壁には大きなひびが入り、ずるずると落ちた男は大量の血を吐き出す。
あの男……今の攻撃で死んでいないとか、まるで“奇跡”のようだな。術式か?
ガタガタと震える男が逃げようとするも、七海はそれを許さない。
「仲間の数と配置は?」
男の頭を掴み、七海が三度 同じ問いを重ねる。
「だから、知ら――……」
七海の拳が男の腹を殴りつけた。衝撃で男に打ちつけられた壁が抉れる。
血を吐き出す男の頬の紋様が消えていることに気づいたものの、深く考える余裕はなかった。
白目を剥く男の元へ、タンタンッと男の剣が手をつきながらやって来る。また剣を呼ぶつもりか。
ヒュッと勢いよく飛んだ剣の切っ先が七海を狙っていた。
「七海さん!」
顔を歪めて笑う男に、順平が警戒するよう名前を呼ぶ。
その剣に向けて、釘崎はとっさに釘を打ち出した。ドンッと剣の柄の手のひらが釘で壁に縫いつけられる。