第19章 観覧車
隣に座るNを見上げる。
Nは私の視線に気がつくと、穏やかな瞳で見つめ返してきた。
「どうしたんだい?」
「Nってやっぱり不思議だなって思って」
隠している本音を引き摺り出されたような心地だ。
「ボクもキミが不思議だ。スキという感情にはさまざまな種類がある、キミはボクにそれを教えてくれた。だから、キミがどんな解を出すのか見ていたいんだ」
「か、解…?」
「キミの数式は非常に興味深いからね」
「?」が頭を埋め尽くしたところで、運転再開のアナウンスが流れた。視界がまたゆるやかに動き始める。
「ようやく動いたね」
「うん…」
わからないことがわからないまま、話が流れてしまった。
気持ちを切り替えようと、景色に意識を向けてみる。
けれど、話が気になってせっかくの絶景が頭に入ってこないのだった。
チラリとNの横顔を盗み見ると、Nは嬉しそうに遠くの水平線を眺めている。
ポケモンへの思いが誰よりも強く、頭の回転が神がかって早く、子供のように純粋なのに、どこか掴みどころがない人。
そのイメージは、出会ってから今もずっと変わらない。むしろ今日、その純粋さゆえに、掴めなさがいっそう際立った。
そんなNの横顔をぼんやりと見ていると、Nが視線を景色から私へと移した。
「ごらん、ボクたちが頂上だ」
「あ…ほんとだ!」
いつの間にかゴンドラはてっぺんに着いていた。