第19章 観覧車
何やらまた複雑なことを考えていそうな気配がしたので、質問を投げてみた。
「Nはどうしてコイを知りたいの?」
「ボクはコイを知りたいのではなく、キミとシルバーをもっと知りたいんだ」
Nは椅子に両手をついて振り仰ぐと、ふう、と息をついて、視線を斜め上から向けてくる。
「キミは、シルバーのことをスキだろう?」
「え!?」
「違うのかい?」
「ちち、違わないけども!友達って意味でね!」
「よかった」
高く昇った太陽を背に、そう言って笑顔を向けるNは、人間を超越した何かのように神々しく感じた。
「だけど、キミたちを見ていると、コイとラブの違いがますますわからなくなる」
「だって、私には——」
「コイビトがいる。でも、ボクはキミがスキだ。シルバーだってきっとそうだ」
キャパオーバーの「スキ」を浴びて目眩がしてきた。
ヘナヘナとゴンドラの窓に頭を預ける。
「もう…Nがわからないよ」
遠い目で呟く。
「なぜ?キミが笑っていればボクはそれでいい。単純な話さ」
降参のつもりだったのに、Nは逃してはくれない。
「それは…友達だからだよね?」
「トモダチというよりも、キミという存在そのものがそう思わせるんだ。キミだって、シルバーに笑っていてほしいだろう?」
「そりゃあ……思うよ…滅多に笑わないけど……」
シルバーくんだから笑ってほしい。シルバーくんだから力になりたい。
シルバーくんだからそう思う??
まだイメージがぼんやりとはしているけれど。
Nの言葉で、私の中のシルバーくんという存在がどんなものなのか見えた気がした。