第19章 観覧車
Nは返事の代わりに微笑んでから、視線を空に向けた。
「なぜだか最近、キミのことをよく考えるようになった。シルバーのことも」
「ほぼ毎日会ってるもんね」
WPMとヒナギク博士のお手伝いで、下手したらグリーンよりも一緒にいる時間が長いかもしれない。
「トウヤに話したら、スキだからだなんて言うんだ」
「そ、そうなの…かな」
Nに他意はない、と心の中で唱えてギリギリのところで平常心を保つ。
ニコリと笑ってみせれば、隣でNは怪訝そうに眉をひそめた。
「とても不思議な顔をしてるけど、それは怒っている?悲しんでいる?」
「喜びの表現……のつもり」
「そうなのか。ボクの理解を超える表現だ…!」
真面目な顔で驚いている。そんなに私の笑顔はぎこちなかったのだろうか。
「ええと、本音は恥ずかしくて…」
きょとんとしているNから、「なぜ?」がすぐに飛んできた。
なかなか「好き」と直接言われないから、嬉しいけど恥ずかしいと伝えると、顎に手を添えて視線を下げる。
「好意を伝えるのはいいことだと思ってたが、受け取り手によって不快ならば、あまり伝えない方がいいのだろうか」
「いや、あのね、もちろん嬉しいよ?でも、照れ屋な人は言われたらドキドキしちゃうかも」
「つまり、キミは嫌ではなく照れていただけなんだね?」
笑顔に降参して頷く。
そりゃあ、こんなに密着しながら「好き」なんて、照れるなという方が無理な話だ。
「フフ、そうやって恥ずかしがるキミも好意に値するよ」
逃げ場のない場所で、どんな私も肯定するような、曇りなきまっすぐな笑顔。
「………」
極度の恥ずかしさに、これ以上は耐えられないと脳が判断し、強制的に感情がスリープモードになった。