第19章 観覧車
「ちがう、私ってなんで——っ!?」
言葉の途中でまたガタンと観覧車が揺れ、体勢を崩してしまった。
「ナナ!」
揺れるゴンドラの中、Nに抱き止められる。怖がる私を気遣うように腕が包み込んだ。
何度見ても美しすぎる顔は、至近距離だと刺激が強すぎて、慌てて視線を逃がした。
「どうやら、強風だけが原因じゃなく、整備不良のようだ」
「う、ん…」
緊張で口がうまく回らない私を見て、Nは気遣うように表情を緩めた。
「整備士らしきヒトと観覧車のスタッフが話している。きっともうすぐ動き出すよ」
「ソう…かな…」
「震えるほど怖いんだね。動くまでこうしていよう」
怯える子供、もしくはポケモンをあやすような優しい声。
しかし、肩が震えているのは、恐怖よりも緊張と動揺が主な原因である。
「いやいや、だ、だいじょうブ」
「またウソをついているね?キミはわかりやすい」
Nは私の本心を探るように、まじまじと見つめてくる。近い。さっきよりも。
「ほんとに、平気だから…!」
これ以上は人として大事な何かを失う気がして、するんと腕の中から抜け出た。そして、立ち上がった拍子に膝をゴンドラの椅子に思いきりぶつけ、よろけてそのままNの隣に座り込んだ。
「〜〜〜ッ!!」
膝を押さえ、声にならない悲鳴を上げていると、
「やはり、今のキミは冷静さが皆無だ。しばらくボクのとなりにいるといい」
私とは対照的な落ち着き払った様子に、自然と動揺も和らいでくる。
「…ごめんね」
「謝るようなことはなにもしてないだろう?」
そういえば、よくグリーンにも謝り癖を指摘されるっけと思い出し、じんじんする膝をさすりながら、「ありがとう」と言い直した。