第19章 観覧車
するとNは、顎に手を添えじっと考え込み、しばしの沈黙のあと、小さく呟いた。
「…ボクもナナと同じかもしれない」
「楽しいって思ってくれてるってこと?」
「モチロン。それにボクもキミと会って、様々な発見があったんだ。つまりボクたちは、互いに影響し合っていたということだね」
「じゃあ、お互いの地図に、新しい場所が増えたんだね!」
「そうかもしれない」
目が合って、笑顔を交わす。
ゆっくり、ゆっくりと景色が上昇する。観覧車に乗っていると、時間の流れもゆったりに感じる。
目の前のNは、嬉しそうに観覧車を眺めている。Nにとっては景色だけでなく、観覧車のホイールを眺めるのも楽しいようだ。
それはそうと。
(み、密着してる…膝が…)
気にしないようにしていたけど、さっきからNの長い脚が私の膝に触れている。移動式遊園地の観覧車だからなのか、ゴンドラがやや小さめなようだ。いや、単にNの脚が長すぎて規格外なのかもしれない。
楽しくもドキドキなこの時間。あとどれくらい宙に浮くゴンドラの中、この美しい人と私はふたりきりなのだろう。
「ナナ、どうしたんだい?」
変に意識して顔が強張っている私を、Nが気にかけて覗き込んでくる。
「…だいじょぶ、ちょっとゴンドラが揺れるなぁって思っただけ」
もうすぐてっぺんになる。高度が上がり、風も強まっているようだ。
「たしかに、少し揺れているね」
Nがそう話した瞬間、観覧車からガコンと異音が鳴り、景色が止まった。