第18章 決戦、看病、そして一夜
「やるぞ!ニューラ!」
モンスターボールを勢いよく投げる。
けれど、ニューラはボールから出てこない。
「ニューラ?どうした?」
「キミを心配してるんだ」
いつの間にかヒビキは消え、男がオレの前に立ちはだかる。黒衣のマントが翻り、裏地の赤が炎のようにちらついて目障りだった。
「なんだよ…!また偉そうに愛だの信頼だのお説教か?」
男は厳しい表情を崩さない。腕を組んだままオレを睨み据える。
「なぜ無茶をした?高熱で大会に出て、キミになにかあったらどうする?」
「熱なんて勝負には関係ない。オレはWPMで優勝するんだ。ヒビキやアンタにも勝って、最強になってやるんだからな!」
「相変わらず無鉄砲だね。でも、キミはもうひとりじゃないんだ」
「オレはひとりだ。今までもこれからも」
「いいや、キミはひとりじゃない」
ワタルがそう言った瞬間、手持ちのポケモンたちがボールから出てきてオレの周りに集まった。
「ポケモンたちはキミを信頼して慕っている。その子たちのためにも無理はしてはいけないよ」
「なに言ってやがる」
ギリギリと歯噛みして睨み返す。
「なら尚更、オレの都合で棄権なんてするわけにはいかないだろ」
そう返すと、ワタルはフッと微笑んだ。
「キミの熱意は伝わった。けどね、ライヤーだって、みんながどんな想いでWPMに出ているかわかっている。次は無茶しないで相談するんだ」
すると今度は目を伏せて、静かな声で言う。
「…おれのWPMは終わってしまった。残念だよ。強くなったキミと戦いたかった」
ワタルがホウオウの羽根をオレに見せてきた。以前、新年祝いの代わりにワタルに渡した羽根だ。絶対に負けない、宣戦布告の意思表示でくれてやったんだ。
「なにせキミは、ホウオウに認められたトレーナーだからね」
ワタルの言葉に続くように、上空からホウオウの大きな鳴き声が響き渡った。
見上げれば、ホウオウはオレを一瞥してどこかへと向かった。
ホウオウに導かれるようにオレは後を追った。