第18章 決戦、看病、そして一夜
聞こえないほどちっちゃな声で呟いたのに、ぱちり、とシルバーくんの目が開いた。
「!?!!?」
心臓が喉から飛び出すかと思った。声を上げないよう慌てて手で口を覆う。
シルバーくんは視線で私を探し、見つけると驚いたように一瞬目を見開き、そしてまた安心したようにまどろみの中へと戻る。
起きたのかヒヤヒヤしたけど、すぐ寝てくれたからかろうじてセーフ?
(びっくりした…起こしちゃったかと思った…)
下手に声を出さないようにしないと。
また起こしたら悪いし、夜も遅いから帰ろう。
今度こそ忘れ物はないか確認し、部屋から出ようとすると、ベッドから今にも消え入りそうな声が聞こえた。
「行く…な…」
驚き、振り返る。呼び止められたのかと思ったけれど、シルバーくんは目を閉じたまま動かない。ということは寝言?
薄暗い照明をつけて顔を覗き込むと、苦しそうに眉を寄せてうめいた。
「行くな…行かない、で…」
悪夢にうなされているのだろうか。
うめきながら、なにかに縋るように手を伸ばしている。
その姿があまりにも辛そうで。
「大丈夫だよ」
伸ばされた手をそっと包み込んだ。
「…大丈夫、だから」
そう唱えると、シルバーくんの呼吸がやんわりと落ち着いていく気がした。
音を立てないよう、ゆっくり椅子に腰掛ける。
「帰れ」なんて言ってたけど、やっぱり本音は心細かったのかも。
ならば、おせっかいと叱られても、しばらくはこうしていよう。
手を握ったまま、ぼんやりと寝顔を眺めていると、だんだんと意識が遠のいていく。
こくり、こくりと頭が揺れる。
意識のスイッチがついては消え、消えてはつく。
そろそろ、帰らないと——
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