第18章 決戦、看病、そして一夜
「まさかお前がここまで本当に勝ち進むなんてな」
「でも、ほとんどシルバーくんとNのおかげだけどね」
「何言ってんだよ。お前ひとりじゃ準決勝までは来られない、けどお前がいなかったらあいつらも勝てない、そうだろ?」
「ルールは3対3だからそりゃそうだけど……でも、本当に、そうなの…かなぁ」
勝てて嬉しいはずなのに、つい癖で自信の無さを見せてしまった。すると、呆れたようなため息が聴こえてくる。
「そろそろナナには、勝者のあるべき姿を教えてやらねーとな」
「なにそれ?」
「自信がなくてもそれを出さずに、勝ち誇って見せつけてやるんだよ」
「やだよそんな、グリーンじゃあるまいし」
「お前なあ…」
グリーンは少し間を置いてから、まじめなトーンで語りかけてくる。
「相手は自分の持てる力をすべて出し切って戦って、そして負けたんだ。グラジオやリーリエは弱かったのか?」
対戦後に握手を交わした時の思いを振り返る。
「…強かった。すごくみんなかっこよかった」
「なら、勝ったお前が堂々としてねえと、負けたヤツらが報われないだろ?」
謙遜や卑下は、対戦相手に対する侮辱だというのをその言葉で気がつく。
リーリエちゃんにおまじないをかけてもらった手のひらをじっと眺めた。託された想いが私の右手に宿っている気がした。
「……わかった もう言わないよ」
指を折りたたんで拳を作り、固く握る。
「人前では堂々とな?ウジウジするのはオレの前だけにしとけ」
「うん…」
でも本当はウジウジも卒業したい。だから「私なんて」は胸の内にとじこめよう。そう決めて、リーリエちゃんのおまじないも心の中に大切にしまった。