第18章 決戦、看病、そして一夜
そして、やがて呼吸は寝息に変わる。初めて見る無防備な寝顔からは、普段の他を寄せつけない雰囲気はまるで感じない。
等間隔で繰り返される呼吸を聞いているだけで、なんだかこちらまで眠くなってきた。
「……うぅ」
苦しそうなうめき声が、ウトウトしていた意識を呼び戻す。
「熱いの?大丈夫?」
熱にうなされるシルバーくんの汗ばんだ額と首元をタオルで拭いた。すると突然、シルバーくんの手がこちらへと伸びてきた。
タオルを持つ私の手を掴み、自身の顔の横に引き寄せる。
「シルバーくん?」
なにか要望があるのかと思いきや、どうやら寝ぼけているみたいだ。手を握り締めたまま寝息を立てている。よほど冷たい私の手を気に入ったのだろう。
(安心して眠ってね)
心の中でそっと呟く。すると、声に出していないはずなのに、シルバーくんが微かに頷いた気がした。
(眠ってる時は素直でかわいいかも)
なんて、直接本人に言ったら怒るだろうなぁ。
怒る姿を想像し、また笑いそうになるのを堪える。
起こさないようしばらくそのまま様子を見て、深く眠ったのを確認してからそっと離れた。
席を立ってシルバーくんの荷物を戸棚にしまっていると、Nが戻ってきた。
「ただいま。シルバーの具合は?」
ちょうど寝たところだと伝えると、Nは安心したように表情を緩めた。なにか手伝いたいと言うので、シルバーくんが眠っている間、私とNで食事や薬の準備をしておこうと計画する。
「なんだかこの間のトゲちゃんを思い出すね」
「そうだね。だけど今日はペパーがいないから、ボクたちふたりでがんばろう」
「うん、まずは給湯室がどんな感じか見てみよっか」