第18章 決戦、看病、そして一夜
「だって…嫌なのかなって…」
「ああ嫌だ。なのに、お前はいつもしつこい」
言葉で否定するくせに、声も、触れる手も、どうしてこんなに優しいの?
前にもこんなことがあったっけ。
たしか、砂浜で転んで庇ってもらった時だ。
「いつから熱あったの?」
「いつだっていいだろ…ほっとけよ」
「ほっとけないよ。今日はシルバーくんいっぱい頑張ってくれてたし」
もしかしたら、朝から無理をしていたのかもしれない。仲間なのにそれに気づけなかった。
「…移っても…知らないからな」
「平気、こう見えて身体は丈夫だから」
頬に触れていたシルバーくんの手をそっと掴む。微かに握り返してきた手はとても熱がこもっていた。
「やっぱり、お前…冷たい…」
「だから、冷たく感じるぐらいシルバーくんが熱いんだよ」
顔をしかめるシルバーくんへ再度問いかける。
「ね、私がこれ、貼っていい?」
しぶしぶ頷いたのを確認し、シルバーくんの前髪を指で横に流してジェルシートをおでこに貼り直す。冷たさにギュッと目を閉じる仕草がかわいくて思わずニマニマすると、またギロリと睨まれる。
なにか言われるかもと身構えたものの、シルバーくんはそのまま目を伏せて、ほんの一瞬フッと笑みをこぼした。
(…今、笑った?あのシルバーくんが…!?)
嘲りや皮肉でもない笑みなんて珍しい。言葉や態度は冷たくても、完全には拒絶されていないようだ。
剥がれないようにシートを押さえてから手を離し、シルバーくんを見つめた。冷やしているおかげか、医務室に来た直後より表情が和らいでいる気がする。
しばらく顔をぼんやりと眺めていると、シルバーくんの呼吸がだんだんと一定のリズムに落ち着いていくのがわかった。