第18章 決戦、看病、そして一夜
Nはこの後アデクさんと約束があったらしく、30分ほどで戻ると告げて出かけていった。
その間、私はミモザ先生に看病に必要なことを確認したり、食事や薬について相談をする。医務室内の備品は許可したものは使っていいと言われたので、事前に使用する備品をピックアップしておいた。
「じゃねーあとはよろしくー」
「え?いなくなっちゃうんですか?」
てっきりミモザ先生もずっといるのかと思いきや、パシオアカデミーでも仕事があるため、この後医務室を空けるという。
「なにかあったらすぐ呼んでねー」
そう言い残し、ミモザ先生は去ってしまった。
それでいいのかなと思いつつ、それほど人手が足りないんだから協力しようと自身に言い聞かせ、気持ちを切り替える。冷凍庫から氷枕を取り出し、タオルで包んでシルバーくんの頭の下に置いた。
「帰れって…言ったのに…」
シルバーくんは薄目を開けて私を睨む。
「諦めて私に看病されてね」
「…フン」
態度の悪さに苦笑しながら、テーブルの上の体温計を手に取った。
「定期的に測るよう言われてるんだけど、自分で熱測れる?」
シルバーくんはなにも言わずに体温計を受け取ろうと手を伸ばす。けれど力が入らないのか、うまく掴めずに顔の横にぽとりと落としてしまった。
「大丈夫?」
体温計を拾った時、指の裏が頬に触れる。赤らんだ頬は、やけどしてしまうんじゃないかと思うほど熱かった。
「…冷たい」
「私の手が冷たいんじゃなくて、シルバーくんが熱すぎるんだよ」
シルバーくんはしかめっ面で体温計を奪い取ると、脇の下に挟んで熱を測る。ピピピと音がしてから体温計を受け取った。
39.5℃。これは、キツイよね。
試合中も熱を出していたのか、それとも試合後に疲れがどっと押し寄せて発熱したのか。わからないけど、こんな状態で最後まで戦ってくれたのかと思うと、しっかり労わろうという気持ちになる。