第18章 決戦、看病、そして一夜
「肺の音は問題なし。でもこの高熱は侮れないから数日は安静にね。個室空いてるし、今晩はここに泊まりなよ」
「個室なんてあるんですか?」
「うん、ちょうど今日は利用者ゼロだからのんびりできるよー」
個室は大会出場者は無料で利用できるらしい。パシオにはまだ病院がないため、緊急を要する場合は島の外まで患者を連れ出す必要があり、だからこそもしもの時に備え、医務室の設備は個室まで用意されて充実している、とミモザ先生は言う。
「大袈裟だな。こんなのただの風邪だ。寝てれば治る」
「そーそー、寝てれば治るからそこの部屋使って」
「だからっ、オレは帰って寝る…!」
「連行よろしく」
「「ハイ」」
拒否権なんてない。ミモザ先生が個室のドアを開き、続いて私とNでシルバーくんを連れて行く。
個室には、ベッドが一台とテレビ、小さな冷蔵庫やトイレ、洗面台など、宿泊に必要な設備がひと通り揃っていた。あまり利用者がいないのか、少し埃っぽかったので窓を開けて換気をすると、新鮮な空気と陽光が部屋に舞い込んだ。
「チッ、いいって言ってんのに…!」
シルバーくんは悪態をつきながらベッドに横になると、掛け布団にうずくまってぷいっと背中を向けた。強がってはいてもやはり相当辛かったみたいで、そのままベッドで休んでいる。
「で、付き添いはあんたたちでいいかな?」
個室の利用者名を記入する用紙を手渡され、利用に関する説明を受ける。
付き添いは原則として最小限。本来はひとりだけど、今回はふたりで連れてきたから私とNでも良いと言ってくれた。
シルバーくんと仲良しなヒビキくんたちに、念のため連絡を入れておくと言うと、すごい剣幕で断られる。
「あいつらには絶対に言うな」
「でも、突然いなくなったら心配しない?付き添いも希望するかもだし」
「ダメだ。これ以上付き纏われてたまるか…!」
「付き纏うって…」
相変わらずなシルバーくんに困っていると、ベッドサイドのモニターテレビからWPM特集の放送が流れ始めた。