第18章 決戦、看病、そして一夜
「素晴らしい勝負でしたわ」
ルザミーネさんの艶のある上品な声が耳を満たす。白く美しい彫刻のような手が差し伸べられ、芸術品のような指先にしばし見惚れていると、握手を求められているのに気がつき、ヒュッと喉が鳴った。
「あ、ああありがとうございました…!」
ドギマギしながら震える手を差し出すと、萎縮しまくっている私を見て、ルザミーネさんは長いまつ毛を瞬かせて微笑んだ。
「フフッ、アナタたちのチームワーク、とても美しかったですわ。次もがんばってね」
「はい…!」
美しいのはルザミーネさんである。この美貌で母親なんて、なにを食べてどんな暮らしをしたら、こんな風に美しく歳を重ねられるのだろう。
美の権化にすっかり夢中な私の両脇でも、対戦者同士が握手を交わしている。
「とても強かったです…!ありがとうございました!」
「こちらこそアリガトウ。キミたちのラブ、見せてもらったよ」
「悔しいが、やはりオマエたちはいいチームだな」
「フン……またいつでも修行に付き合ってやるよ」
ふと、グラジオくんと目が合った。すると、グラジオくんは私にも握手を求めてくる。
「グラジオくんも、対戦ありがとう!」
こうやって話すのはアカデミー以来だ。少し緊張しながら手を伸ばすと、笑顔で手を握ってくれた。肌の透明感も美しいブロンドも緑がかった虹彩も母親譲りなんだな、なんて、試合とは全く関係ない感想を抱いて妙にドキドキしてしまった。
「オマエのサンダースには随分手こずった。いい相棒だな」
「グラジオくんとシルヴァディもね」
ぎゅ、と手を強く握り締められる。
「…勝てよ。つぎも、そのつぎも」
「…うん!」
互いに頷く。と、リーリエちゃんが私たちの手に自身の手を重ねた。
「どうしたリーリエ?」
「ナナさんたちが、次の試合もゼンリョクでがんばれるおまじないです!」
キラキラと眩しい笑顔で、リーリエちゃん。優しいおまじないに思わずジーンときてしまった。
「ありがとう…!がんばるよ!」
「はい…!応援してます!」
挨拶を終え、たくさんの歓声に包まれる中、スタジアムから退場した。