第11章 お祭り騒動
「な…っ、今の…」
唇が触れかけて真っ白になった刹那、キスが落とされたのは額だった。
キスされたおでこを手で押さえる。触れた箇所がジンジンと熱い。
「これでもまだ“優しい人”か?」
「…どうしてっ」
声が震える。心臓が五月蝿い。
シルバーくんは気にする素振りを一切見せず、足を組み直す。
動揺してるのは私だけ?からかって楽しんでる?
全身の血液が沸騰してしまいそうだ。
「い、いくら私が隙だらけでも、急になんでこんな…っ!」
戸惑いを隠せず声が上ずってしまう。
「これで少しは警戒心が芽生えただろ」
そう言いながら意地悪く口角を上げる。睨み返すと、シルバーくんの目つきがさらにキツくなる。
「なんだよ?」
「どうしてワザと突き放そうとするの?」
「鬱陶しいんだよ。オレのことをなにも知らないくせに知った風な口をきいて」
鋭い眼光の奥には翳りが見える。
なにも知らないって言うけど、襲われていた私を助けてくれて、困っていた時も力になってくれて、辛い時にはずっとそばにいてくれた。
自分のことをわかってないのはシルバーくんの方だ。
「いいよ。そうやって拒絶しても、私はずっと友達だし仲間だと思ってるから」
「お前は…また、そうやってオレを…!」
シルバーくんは歯噛みして、何かに抗うように言葉を喉の奥に閉じ込める。
「クソッ…わけがわかんない!なんなんだよお前!」
「私だってわからない、急にからかうし」
「からかってない」
「なら、なんでさっき…!」
聞き返そうと顔を上げると、
「……もういい、全部忘れろ」
心を閉ざすように、シルバーくんは静かに言い放った。