第11章 お祭り騒動
「お前、オレのことなめてるだろ?」
「なめてはないけど怖くはないよ」
「オレは、お前が思ってるような人間じゃない。強くなるためになんだってやってきたんだ。人に言えないようなことだってな」
その声音はどこか暗い。なにか思い詰めているようにも見える。
「私が知ってるシルバーくんは、いつも私が困った時に助けてくれる優しい人だよ?」
「随分といい評価してくれるじゃねーか」
シルバーくんは素直に言葉を受け取るはずもなく、「なんにもわかってない」と言いながらどこか自嘲気味に笑った。
乾いた笑みがシルバーくんの心を見えなくする。
「お前、さっきの反省が全然活かせてないな」
「どういう意味?」
「隙だらけだったからニューラに盗られたんだろ」
「だって、まさかあのタイミングでかんざしを狙われるなんて誰も思わないよ」
「初めて会った日もそうだった。警戒心がない上にお人好し。だから悪意のある人間につけ込まれる。その羽根がたからものって?なら守ってみせろよ」
シルバーくんがこちらに向かい腕を伸ばしてきた。頭の後ろを護るように手で覆うけど、たやすく捕らえられてしまう。
「ダメっ、これは——」
言いかけて、声を失う。
風鈴が耳元で揺れ、遠くから祭囃子が聴こえる。
突然の衝撃に身体が固まる。
「ほらな、隙だらけ」
後頭部に添えられた手がそっと離れた。