第8章 ー天使の涙ー
「つーか、お前んち、学区外なんだろ?どこ住んでんだ?」
今まで久遠はメンバー達と一緒に帰ることなんてなかった。
その理由は赤司から『学区外登校だから』と聞いていた。
今日、このまま一緒に帰っていいものかわからない。
「んーとねー、あっちー」
久遠が指差す方角は今進んでる方角の180度逆とは行かないまでも120度くらいは方向が違う。
「いや、お前んちから離れてってるじゃねーか!」
「えー?グルっと遠回りして帰るだけだよー?」
「お前のは遠回りの範疇超えてるんだよ!」
青峰はくるりと方向転換するともと来た道を引き返し始めた。
「えー?青峰くん、どこ行くのー?お家こっちだよねー?」
「うるせぇ!今日は俺が遠回りして帰ってやんだよ!お前んち、どっちだ?案内しろ」
「えー、もう帰るのー?」
至極残念そうな声に青峰は特大の舌打ちをした。
「お前のこと一人で帰したなんて赤司に知れたらそれこそ買食いよりもどやされんだろーが」
「そんなこと赤司くんに言わなきゃわからないよー」
先程買食いする前に自分が吐いた正論で殴られて青峰は思わずウッと言葉が詰まる。
その隙に
「二人のナイショ?ヒミツ?」
久遠がそう青峰を覗き見られれば赤司をダシに使うことはもうできなかった。
「〜〜っ俺が嫌なんだよ!お前が一人で帰ってなんかあったら夢見悪ぃだろ!」
そうぶっきらぼうに声を荒げるともう久遠に覗き見られないように思いっきり顔を背けて大股で歩き始めた。
久遠は少し驚いたような顔をしたがすぐに嬉しそうに笑うと小走りで青峰の横に並んだ。
久遠よりも背の高い青峰が久遠の反対方向を向いてしまえばその表情は見えない。
「青峰くん、ありがとー」
「…別にお前の為じゃねぇ」
「そうなんだー。ねぇ、青峰くん?」
「なんだよ?」
「青峰くんの耳はどうしてそんなに赤いの?」
「……」
「?」
本当に不思議そうに久遠が青峰の顔を覗き込もうとするもんだから青峰は意地でも顔を背けた。
「青峰くんー?」
それでも何か答えなければ納得しなさそうな久遠の様子に
「…あっちぃからだよ!」
と無理矢理理由をとってつけた。
「そっかー。もう一本アイス食べるー?」
「食わねぇよ!」