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【黒子のバスケ】帝光の天使(中学校編)

第8章 ー天使の涙ー


「遠出で疲れているところ悪いね。君に一つ頼みたいことがあるんだ」

「はい…」

白金の笑顔に対して久遠は未だに眉を下げている。
それでも白金は構わずに話を続けた。

「私は練習に合流する前から練習風景はよく見ていたんだ」

「はい…」

「君のことももちろん見ていたよ。二年生からマネージャーになった割にレギュラーメンバーからの信頼が厚いね」

「それは…みんなが仲良くしてくれているからです」

「そんなことはない。全て君の人望だよ。選手たちのこともよく見て、それぞれに合った関わり方をしてくれている」

「いえ…」

「そこで君にしたい頼みなんだが」

白金は一度言葉を切ると、笑みを消して真剣な顔で久遠を見た。
何を言われるのだろうと久遠も白金を見上げる。

「これから練習も試合も、それこそメンバー同士の関係性も激化していくだろう。君はみんなを見ていてくれないか。そして、その時一緒にいたいと思う者のところにいてほしい」

今まで心配そうな顔をしていた久遠はその言葉に顔の力が抜けた。
そして、不思議そうな顔をする。
かなり普段の表情に近い。

「えーと、それは今までと何が違うんでしょーか?」

口調までいつもの間延びしたものになっている。
それに白金は再び笑顔を浮かべた。

「今までと一緒で構わないよ。日々変わっていくチームの中で変わらないことこそが君の仕事だ」

久遠はその言葉の意味をすぐには理解できないようで軽く首を傾げたが、すぐに

「はい、このままでいいならー」

と了承していた。
白金の要件はそれで終わったので「じゃあ、みんなのところに戻りなさい」と声をかけるつもりだった。
久遠を呼び止めた時に赤司も気に掛ける素振りがあった。
あまり長く引き留めては気を揉むだろうと。
しかし、白金がそれを言葉にする前に久遠が先に口を開いた。

「あの…監督は…」

そこまで言葉にしてから、口を閉ざし、視線を外してソワソワと落ち着きなく手を合わせていた。
言うか言わざるか迷っている、という風に。

「どうした?言ってみなさい」

そう促せば、呼吸を整えるように軽く息を吐いて、そして吸った久遠が白金の目をまっすぐ見上げた。
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