第1章 殺し屋
「か、可愛い…」
目をくるくるさせてハルの周りを嬉しそうにその犬は回った。
「ふふ、君名前はなんで言うのかな?」
少し撫でるとお腹を見せて寝転ぶその犬に自然と笑みが溢れる。
「ハロだ。最近拾ってね。」
その声にふと目をやると、そこには上半身の服を脱ぎ、濡れた髪をタオルで拭く彼の姿があった。
褐色の引き締まった体と
雨に濡れた前髪がなんとも色っぽくて
耐性のないハルは目を覆う。
「んな、!何してるんですか!ふ、服着てください、!」
慌てて後ろを向いたハルに彼は笑みをこぼした。
「取って食ったりしないから
ほら、君もその喪服脱いで
シワになるし、風邪ひくだろ」
「…へ、」
拍子抜けしているハルは背中を押され
脱衣所に連れて行かれた。
「先にシャワー浴びて
タオルはこれ使って。服は後で置いておくから」
彼はそれだけ言い、脱衣所の扉を閉めた。
「…んな、」
なにやってんのよ、私
一人になった脱衣所で一人で慌てた自分が恥ずかしくなり顔を覆った。
ーー
ー
シャワーを浴びて脱衣所に出ると洗面所の横には服が置いてあった。丁寧に畳まれたそれをハルは裸のまま手を通す。
女性の中でも小柄というわけでもないハルだったが、
そのスウェットは大きく、袖をまくる必要があるほどだった。
そのままハルはタオルを首にかけ
そーっと脱衣所から出ると、
彼は上裸のままキッチンでココアを作っていた。
「…あ、の」
定まらない視線でハルがそういうと、こちらに気づいた彼は少しだけ目を丸くした。
「…、?」
ハルが首を傾げると、
「ああ、早かったな
そこにあるドライヤー、使って。」
とリビングの机を指さした。
予想と全然違う彼の対応に戸惑いながらも
ハルはリビングのソファに腰掛け、
ドライヤーのスイッチをつける。
…何この状況、
彼はハルの前に温かいココアを置き
シャワーを浴びにいった。
肩に少しつくくらいの髪が一通り乾いた頃に
彼も頭を濡らして出てきた。今度は服を着ていて、ハルは少しだけ安心した。