第3章 雪と事件
「きゃー!ハルお姉ちゃん速いー!」
子供用のそりに歩美ちゃんと二人で滑る。
体重が重いほうが速く滑るんだよ、と伝えたら
歩美ちゃんが大人と滑りたいと言ったのだ。
「次、僕と乗ってください!」
「いーよー!」
「ずりーぞ!俺も俺も!」
「元太くんは大人と同じくらい背が高いからなぁ」
「みんなで乗ろ!」
そう言って私たちはまた上へと登って行った。
「あれ、コナンくんと哀ちゃんは?
遊ばないの?」
そういうと
二人はニコッと笑った。
「私はパス。寒いし中に入ってるわ」
「僕も昴さんに用があるから!」
そう言って二人はどこかへ行ってしまった。
「哀ちゃん、一人で大丈夫かな…」
後ろ姿を見ながら少し心配になる。
「灰原さんは多分大丈夫ですよ!
すごく大人だから迷子になったりはしません!」
光彦くんが言った。
…ほ、ほんとかな。
早く行こうと引っ張られながら、
コナンくんが座って私たちを見ていた昴さんの元へ歩いて行くのが見えた。
ーー
ー
「ねぇ、昴さん。」
「なんだい、コナンくん。」
少し飛び乗るようにコナンは男の隣に座った。
そして、子供達と一緒にそりの順番待ちをしているハルを見ながら言った。
「ハルさんって、何者?」
小学生らしからぬ少年に、慣れたように彼は返答した。
「ただの元隣人だよ。」
「ふーん?それだけ?」
「何が言いたいのかな?」
スノーフェスティバルの浮かれた雰囲気とは裏腹に、二人の空気はそれに似つかわしくなかった。
「昴さん、彼女のこと気にかけてるよね。
何か特別な関係なのかなって」
昴は少し黙った。
この子は本当によく見ている。
高校生だとしても、さすがは探偵を名乗るだけはある。
そう、心の中で思った。
「本当に、ただの隣人さんだよ。」
昴はポケットに手を入れ立ち上がった。
「ただ、私は、ずっと昔から知っているけど。」
そう言って、彼はポケットのタバコを手でいじりながら
その場を後にした。
ーー
ー
「……あ、昴さん、どこか行くのかな」
滑り落ちた先に、コナンくんだけが見えた。
人混みを探すと、そこに昴さんが歩いていくのが見えた。