第3章 雪と事件
高速に乗って数時間が過ぎ、はしゃいでいた子供達もいつのまにか寝息を立てていた。
「昴さん、お疲れでしたら私も運転できますから、おっしゃってくださいね。」
さっきのパーキングで買ったコーヒーを飲む昴さんにそう伝える。
「ありがとうございます。でも私も運転が好きなので、このままで大丈夫ですよ。ハルさんも疲れたら眠ってくださいね。」
「ありがとうございます。」
本当に細かく気を使ってくれる方だなぁと感動する。
年上力の塊みたいな人だ。
それに比べて私は…。
朝の降谷さんの顔が頭に浮かび慌てて頭を張った。
旅行中は降谷さんのことは考えないようにしたかった。
「そういえば、同居人さんの許可は取れたんですね」
「…へ?」
「以前許可がないと遠出はできないっておっしゃってましたよね」
そう思ったのも束の間、昴さんに降谷さんの話を振られてしまい異様に心拍数が上がってしまった。
「あ、!えっとそうですね、まぁ変な話ですからね、子供じゃあるまいし、外出に許可がいるなんて。」
「不躾ですが、同居人とはどのような関係で?」
急に飛んできた質問に冷や汗が出た。
昴さんは前から核心をつくようなことを言わない人だったのに。
「えっと…」
何か言わなきゃ、と思ってもどうしても何も出て来ない。
急に車内の空気が暑く感じ、冷や汗が出た。
「その…、すいません、」
ど、どうしよう。
正直に経緯を話したほうがいいのかな。
でもそんなことしたら降谷さんは捕まっちゃって。
あの生活は多分なくなっちゃう。そしたら私どこに行けばいいんだろう。
言えない。誤魔化すしか…
そう思った時。
「すいません、困らせたかったわけじゃないんです。」
昴さんが私が膝の上でキツく結んだ拳に手を置いた。
「ただ、私たち知り合って長いでしょう。
でも君のことよく知らないから。」
その言葉に昴さんの顔を見る。
「少々踏み込んでみたくなったのです。
ハルさんがまた辛くなったら
いつでもまた、すぐ頼ってください。
私は君の味方でいたい。」
「昴さん…」
昴さんの優しさに少し視界がぼやけた。
こんなに昴さんは真っ直ぐに助けてくれるのに
私はその好意を利用するだけ利用してるんじゃないか。
そんな考えが頭に浮かんだ。