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永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第118章 青い花の秘密


朝靄が立ち込める大坂城の城門前。

出立の支度を終えた兵達が静かに整列し、その様子を見ようと城下の人々も大勢集まっていた。

馬乗り袴を身に付け、高く髪を結い上げた朱里は少し緊張した面持ちで、信長の元へ歩み寄る。馬上から差し出された手に迷うことなく手を重ねると、信長は満足げに口元を緩めた。

「覚悟はよいか?」

「はい」

返事と同時に馬上へと引き上げられ、背中からふわりと包み込まれる。背後から回された逞しい腕が馬の手綱をしっかりと握る。すぐ傍で信長の息遣いを感じる距離に、胸の奥がきゅんと高鳴る。

城門の外では、まだ朝早い時刻であるにも関わらず、旅人、商人、町娘まで、多くの人々が集まってこちらを見つめている。

「信長様だ。京へ行かれるそうな」

「奥方様もご一緒なのか…珍しいな」

「何やら珍しい物を帝へ献上されるんやと」

ひそひそと交わされる声が風に乗って聞こえてくる。
信長の傍に控えていた秀吉は、硬い表情のままその様子を見渡す。

「ずいぶん人が集まりましたね」

「ああ」

信長は表情を変えることなく前を見据える、平然と答える。

「それでよい」

見送りに出ていた政宗がにやりと意味深に笑う。

「盛大に噂を流させた甲斐がありましたね」

『博多の豪商、島井宗伯から献上された青い硝子の花を帝へ献上するため、信長が上洛する』

「今やそれを知らぬ者はおりますまい」

秀吉は複雑な表情で集まった人々を見回す。噂を広め、此度の上洛の準備を滞りなく整えたものの、信長が囮になることについてはいまだ納得してはいない。

信長が馬上から手を上げると、大きな歓声が上がる。
集まった者達の多くは、信長の姿を一目見ようと集まった町人や旅人だろう。

だが、その中にはきっといる。青い硝子の花を狙う何者かが。
信長は最初からそれを承知の上で、敢えて見せつけるようにこの場を作り上げたのだ。

朱里はそっと信長の横顔を見上げる。
涼やかな眼差しは人波を見渡しながらも、まるで一人一人の胸の内まで見透かしているようだった。

(…信長様はもう、敵がこちらを見ていることまで読んでいる)

共に京へ行くことに不安がなかったわけではない。だが、信長は無防な賭けはしない。勝つために盤を整え、敵が駒を動かす瞬間まで待つ。そういう人だ。

(信長様を信じて…私は私に出来ることをすれば良い)


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