第115章 *閑話カームデイ16 〜リドル~*
立ち上がらせた自分の手を離れ思い出したように花畑の奥へと走る背中に問いかけると、先程ノアによって放り投げられた杖を片手に走り戻ってきた
自分の武器であり魔法士であることの証明でもある大切な杖を忘れていたことに少し驚き、小走りで戻ってきたレイラに手渡された杖を受け取ると、その柄の感触を確かめるようになぞる
リドル『...そういえばこの杖を粗雑に扱ったのは君(黒兎)だったね』
『え』
リドル『体を引き倒し、腹を押し潰そうとし、挙げ句の果てに目まで潰そうとした。これは立派なボクへの暴力行為だ』
『ぇ、ぁ..それ、は..』
リドル『この寮に足を踏み入れれば他寮の生徒であろうとも、この寮のルール・寮長であるボクには従わなくてはいけない。つまり、一時的とはいえ君の”寮長”である者にここまでの無礼を働いた君の罪はキチンと裁かなくてはいけないね』
『ご、ごめんなさい。痛いことしないで、酷いことしないで..っ』
リドル『そんなことはしないよ。だけど罪は償わなくてはね。さあ、大人しくするんだ』
身を縮こませるレイラをもう一度抱きしめると、杖を首に軽く押し当てる。冷たい感触にビクッと跳ねる肩に目を細め、兎耳に唇を近づけると断罪の魔法を紡いでいく
リドル『”判決を聞かせてあげよう。評決はあとだ。覚悟はいいかい?
首をはねろ(オフ・ウィズ・ユア・ヘッド)”』
今まで聞いたこともないほど穏やかな言葉と共に、静かな花畑にカチッと無機質な音が響いた
〔リドル〕
リドル『この寮から出るその時に外してあげるから安心するといい』
『むぅ。そんなに苦しくないからいいけど』
紅茶を一口飲みながら居心地が悪そうに枷を撫でる。レイラにとって3度目の屈辱だろうけど、罰なのだからどんなに泣かれても外す気はない
それにあれは魔法封じの枷。彼女の身に巣食う黒兎はその力自体が正体であるが故、枷を着けていれば出てくることはないだろう。あれは彼女の武器でもあるが心も体も蝕む悪魔でもある。せめて今だけでも解放してあげたい