第69章 未来(火神大我)
「ちっせー手」
「火神くんが大きすぎるんだよ」
「そうか?」
不思議そうな顔で、繋がれていない自分の手を見つめる火神くん。
「…かっこいいなぁ」
「…どうした、急に」
「…へ、」
「…急に言われると照れんだろ」
え、もしかして口に出てた!?そう思った時には火神くんの耳が赤くなっていることに気づいて。
ふたりして笑いながら握った手を強く握り返した。
「あー、のさ」
「うん?」
「今日で1ヶ月、だろ?」
「え…うん、」
「…もう少し一緒にいてぇんだけど」
「…!」
そういう火神くんの言葉に頷いて、私たちはマジバに行くことにした。
「そんだけでいいのか?」
「うん、シェイクとチーズバーガーだけでいいよ」
「ただでさえ細ぇのに…」
「火神くんが異次元なの!」
「そうか?」
目の前に積み重ねられたチーズバーガーの山。
リスみたいに頬張る火神くんに胸がきゅんとした。
「…頼華?」
どこか懐かしい声に、呼ばれた反射で振り返った。
「…あ、おみねくん」
「…何で火神と一緒に居んの」
「…そ、れは」
「…ちょっと来い」
ぐい、と私の手首を掴む青峰くんの手を制止したのは火神くんだった。
「いやいやいや、待てよ。」
「あぁ?お前に関係ねぇーだろうが火神」
「あるに決まってんだろ」
そう言った火神くんの言葉と同時に、私の目の前見知れた制服があって抱きしめられているのだと気づいた。
「…今は俺のだ。バスケも龍ヶ崎も譲る気ねぇぞ。」
火神くんのその言葉に、アホらし、と呟いた青峰くんは去っていって。
しばらくふたりの間に無言の時間が流れていた。
「…絶対譲らねぇから」
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あれから数日。
幸せなはずだった1ヶ月なのに、青峰くんが割り込んできたあの日から、また私はどうしていいか分からずにいた。
”ちょっと来い”_____
そう言った彼の目が脳裏に焼き付いていて。
それを払拭するようにマネージャー業に打ち込んでいた。
火神くんと言えば、火がついたかのようにあれから更にバスケに打ち込んでいて。
私への態度や言動は何ら変わりないから大丈夫だと、ほっとした。