第1章 君の中に墜ちる
あの時は、手入れ札があるとはいえ、短時間で使いすぎた霊力が果たして彼の手入れに足りるのか、ちゃんと施せるのかもわからない状況だった。そんな中で無我夢中で手入れして、情けないことに無事を確認出来ないまま気を失ってしまって…
目覚めた後は彼が本当に無事なのか不安で仕方がなかった。
だけど、今…大倶利伽羅が…大倶利伽羅が目の前にいる。私の手を握ってくれている…
「無事で良かった…良かった…っ…、大倶利伽羅がいなくなったら私……私、……大倶利伽羅…おおくりから…」
手の甲で涙を拭いながらすんすん、と鼻を啜って名前を呼ぶ。大倶利伽羅の手の温もりに、不安だった気持ちがすぅっと溶かされていくよう――
私の言葉に大倶利伽羅は何も言わないけれど、私の手を握っている大倶利伽羅の手にグッと力が込められたのがわかった。
暫しの沈黙の後、私の嗚咽だけが響いていた部屋に大倶利伽羅の低い、落ち着いた声が落ちる。
「……俺は刀だ」
唐突な大倶利伽羅の言葉に私は疑問を覚えるけど、私が大倶利伽羅に想いを寄せている事に対しての言葉だと、なんとなく悟った。
仰向けに横になっていた体をゆっくりと起こそうとすると、すかさず大倶利伽羅が背中を支えてくれた。