第1章 君の中に墜ちる
「だから無理だ、あるじっ!」
「ごめ、ん…思ったより力を使ってたみたい…これくらいで、本当情けない…」
「結界を張り直したんだから無理もない!頼むから少しでも休んでくれ!秋田の手入れ、その上後で皆の手入れだってあるんだ」
「……でもね、休んでなんていられないの。一刻を争うことは不動だってわかっているでしょ…?こうしてる間にも皆が大変な目にあってる。だから、ね…まずは不動の手入れを施すから刀を貸して?」
「だけど主」
「いいからっ!」
不動は今にも泣きそうな顔で私に刀本体を差しだした。それをしっかりと受け取る。
「大丈夫だよ。多少無茶したとしても霊力を使い果たすわけじゃないし、これくらいで死ぬわけじゃないんだから…それに、皆のほうが余程無茶してる。……不動、ありがとうね。……不動のおかげで、皆が、今も頑張ってくれてるおかげで、何とか最悪の事態は避けられそう」
「…俺は主の望む結果を出したまでだ」
「うん…ありがとう」
不動の刀を手入れしていると、それを黙って見つめていた不動が突然顔を上げ叫んだ。
「主!!遠征部隊だっ!遠征部隊が帰還した!!気配を感じる!」
「間、に合った…の…」
「ああそうだ、間に合ったんだ!主、もう大丈夫だ、大丈夫…」