第1章 君の中に墜ちる
ひたすら走り続け、やっとの思いで手入れ部屋に辿り着くと、壁に無数の弓矢が刺さっていたものの部屋自体は無事なようだった。
「はあ…は…ッ、良かった…」
思わず荒い息と共に安堵の言葉を零すと、先を促すように不動に強く手を引っ張られた。まだ少しの猶予も許されない、早くしなければ追っ手にここを破壊される可能性がある。
急ぎ手入れ部屋全体を覆うように結界を張り、更に強化札を建物の外壁に貼り終え、室内に退避したところで、緊張の糸が切れたように膝から崩れ落ち、慌てて不動に抱きとめられた。
「主っ!」
「ごめん…でも大丈夫だから…今の内に不動の手当させて?」
「そんな体で無茶だ!俺はこれくらい耐えられるから主は少しでも休んでくれっ」
「休んでなんていられない!」
皆まだ必死に戦ってる。
それなのに自分だけ安全な所に避難して、その上休むなんて出来るわけがない。
不動の体も服はあちこち破れてボロボロだし、左腕の切創は肉が覗いて見えるほどのかなり酷い状態だ。それにその傷でさえも私を守って出来た傷だ。
今自分に出来ることをしなければ彼らに申し訳が立たない。
これくらい、と思い胸に抱いていた秋田をそっと横に置き、不動の刀に触れようとすると、くらりと目眩がして咄嗟に不動が支えてくれた。