第1章 君の中に墜ちる
大丈夫、力は漲っている。こんな穴、塞ぐのは容易いこと。
大丈夫…!
できる…!
すぐ側で刀のぶつかり合う音が響く。
ピシリッ ミシ…ッ!
刀剣達が防ぎきれなかった弓矢や銃弾が体に張った結界に当たる度に嫌な音が聞こえる。貫通はしないものの、当たる度に徐々に結界の効力が弱まっていく。
ピキピキ…ビキィ…ッ
時間遡行軍が破った結界の修復が先か、自分の体に張った結界が破壊されてしまうのが先か五分五分といったところだった。
びりびりと空気の揺れを感じながら裂け目がみるみるうちに小さく塞がっていく。
額に、全身に汗が滲む。指先が冷たくなる。目眩がする。
あと少し…
もう少しで塞がる…!
パキーーンッ!
「主っ!」
不動の叫び声と遡行軍のけたたましい叫び声が頭上から聞こえた。
裂け目が完全に塞がったのと、私の体の周りの守りの結界が破壊されたのはほぼ同時だった。不動が気付くのがあと一歩遅かったら頭上で待ち構えていた短刀にやられていただろうと思うと背筋が凍る。
とりあえず危機は脱した。だけど今度は手入れ部屋に向かわなければならない。あそこを守らなければ傷ついた刀剣達をいち早く治してあげられないのだから。