第1章 君の中に墜ちる
「主っ今のうちに突っ切る!」
不動の声を皮切りに、大倶利伽羅のネックレスを首に掛け、敵の目を掻い潜りながら結界の裂け目に向かって走り出す。
後方で大倶利伽羅と大太刀が刃を交える金属音が鳴り響いた。
きっと、大倶利伽羅なら大丈夫…
誰も死なない。折らせはしない。
大倶利伽羅に助けてもらったこの命、こんなところで終わりにはしない。今度は私が、大倶利伽羅を、皆を守りたい。
そのためには一刻も早く結界の綻びを修復しなければいけない。空をうようよ飛んでいる遡行軍・短刀に気を付けながらも建物や草に身を隠し目的地へとひた走る。
何度も危うい場面に遭遇するも、そこに居合わせた刀剣が私達を逃してくれた。
不動の右手には抜き身の刀がギュッと握りしめられている。その刀が振るわれることがないように、見つからないように全神経を研ぎ澄ます。
途中で鶴丸と三日月が座っていた縁側を通ると、歌仙が作ってくれた練り切りが無残にも踏み潰されていた。
畑の野菜も…収穫間近であんなに立派に育っていたのに、今は見るに堪えない。
あんなに穏やかだった本丸の日常が一瞬にして奪われた。
許せない…!
ぐっと歯を食いしばり涙を堪え走り続けた。
裂け目に近付くにつれ多くなる敵の数に緊張が走る。