第1章 君の中に墜ちる
気配を消す結界を張っていなかったら……
今頃あっという間に四方を囲まれていただろうと、ぞっとした。
見慣れた自室は既に屋根部分が崩壊し、正面の障子や襖は全て破壊され見る影もなく、床は一面黒い物で塗りつぶされているかのようだった。
その黒い物が『穢れ』なのだと瞬時に理解する。
もし部屋にいたら、私なんかの命は一瞬で散っていただろう。守りの結界を張っていたとしても太刀打ち出来るかわからない。
そしてそこから出てくる敵が、赤い目を光らせながらこぞって一心不乱に何かを探しているのが見て取れた。
私だ…
私を探している…
見つかったら最後だ…
恐らく目の前の大太刀も、私を探している…
どうすれば…ここを突破できる?
どうすれば…あの大太刀がいるあの場所を通り抜けられる?
他に道は無い、どうすれば…
そう逡巡している間にドオンッ!!と一際大きな破壊音が響いて地面が揺れた。
咄嗟に耳を塞ぎながらも恐る恐る見上げると、建物が一部吹き飛ばされている。
もくもくと上がる土煙の中、一際怪しく赤く光る目が私を捕らえた。
──見つかった!