第1章 君の中に墜ちる
あともう少しで、というところで急にこちらを振り返った不動が人差し指を口元で立てながら、建物の影に私を押し込んだ。咄嗟に身を隠し不動を見ると、不動は私を庇うようにしながら前方を探っているようだった。
恐らく、先に敵が、遡行軍がいる…
息を殺しながら不動の肩越しに見える風景に目を凝らすと、一際体の大きい敵が見えた。あれは…大太刀だ。しかも2体いる…
大太刀はそこら辺の建物や木をなぎ倒しながら辺りを見回していて、何かを探しているようだった。
なんて恐ろしい…
その姿を目の当たりにした瞬間、ゾクリと体に悪寒が走った。刀剣達は…いつもあんな敵を相手に戦っていたの…?
暫く大太刀が立ち去るのを息を潜め祈りながら隠れていたけど、その間にも綻んだ結界の穴からぞくぞくと現れる遡行軍。
そして降り立った敵の半分ほどが一斉にある場所へと向かっていると悟り、あまりの恐怖にヒッと口を両手で塞いだ。
遡行軍が向かっているのは紛れもなく審神者部屋だった。
私の霊力が強く残っているあの部屋へと向かっているんだ。そりゃそうだ、私を亡き者にすれば刀剣達は姿を維持出来ず刀に戻るのだから…
それが何よりも手っ取り早いと知っているのだろう。