第1章 君の中に墜ちる
はっきり口にしたつもりだったけど、緊張で喉が上手に動いてくれず少し上擦ったような、聞き取りにくい声になってしまった。それでも大倶利伽羅には伝わったようで、乏しい表情の中にもそれなりの変化が見られた。
でもそれは決して嬉しそうとかそういう表情ではなく、次いで吐かれた言葉は私の想像を絶するものだった。
「……俺があんな事を言ったから、同情しているのか」
「え…あんな事…?って…」
「あんたが欲しかった、と…」
「…っ!…違うっ、それにこの気持ちは同情なんかじゃ、」
「じゃなければあんたは…勘違いをしているだけだ」
「勘、違い…?」
大倶利伽羅から発せられた言葉を脳内で反芻するけれど何がなんだかわからない。頭が理解を拒んでいる。何か言おうとして開いた口は固まって動かなかった。
どうしたらよいのか分からなくてその場で立ち竦んでいる私に、大倶利伽羅はもう一度わからせるかのように同じ事を言う。
「俺を好きだと、勘違いしているだけだと言っている」
「なんでそんな、こと……」
「あんな状況だったんだ、勘違いしても仕方がない」
あんな状況とは…
私が大倶利伽羅に抱かれたことを言っているの…?