第1章 君の中に墜ちる
「なんだったんだ…?」
背後から不思議そうな御手杵の声が聞こえた。
大倶利伽羅に会いたい!
会って確かめたい!
そしてお礼を言いたい…ッ!
そして…そして…自分の気持ちを伝えてもいいかな…
必死になって探しているときに限って見つけられないのは何故だろう。庭を駆け抜け畑に行ってみたが内番はもう終わったらしく誰の姿もなかった。
縁側に鶴丸と三日月が仲良く座っている姿が見える。
お茶を淹れてくるって言ったきり戻らなくてごめんなさい。後で必ず届けるからもう少しだけ待ってて…
心中で謝罪しながら、大倶利伽羅の部屋と鍛錬場を見に行くもやはり見当たらない。
どこにいるの…ッ?
「大倶利伽羅っ!」
倉庫近くで彼の小さな後ろ姿が見えた時には、まだ距離があるというのに思いっきり彼の名を叫んでいた。
私の声が届いたのか、大倶利伽羅が足を止めゆっくりと振り返る。手には鎌や鍬などが握られていた。畑で使った農具を片付けに来ていたようだ。
話をすることもままならないほど呼吸が乱れているけど、息継ぎをしながらなんとか言葉を紡ぐ。
「はぁッ!…は…はぁッ……あの、ね…」
「…」
「私が…はぁ…うなっ、ふーッ…されてたっ時……っ」
「少し落ち着け…先に片付けてくるから待っていろ」
途切れ途切れの私の言葉に大倶利伽羅は呆れたように言い、倉庫にまた歩みを進めた。