第1章 君の中に墜ちる
ブツブツ言いながら御手杵は冷蔵庫を開けたり、棚を開け物色している。
「確かおひつにご飯が残っていたはず…」
大きいおひつの蓋を開けると、数個分のおにぎりが作れる量のご飯が残っていた。
「おにぎり、作ろうか?」
「握り飯か?食うっ!腹減って仕方ねえ!」
「ふふ…ちょっと待ってて、えーっと…具材あるかな…」
冷蔵庫を開けておにぎりの具材になりそうな物を探すと、梅干しと高菜の漬物があった。鶴丸を待たせているのもあり急いで冷蔵庫からそれらを取り出す。続いておひつに残っているご飯を塩を振りかけた掌に乗せて、真ん中に具材をのせ軽く握った。
我ながら綺麗な三角形になったことに満足する。その間、御手杵は椅子に座り頬杖をつきながら、期待の眼差しでこちらを見ていた。
『苔を炙る時は2枚重ねて炙るんだよ。こう、表と表を重ねてね。裏の部分だけを炙るのが最も香りが残って風流なんだ』
歌仙に教わった言葉が脳裏を掠めるけど、今はそんな時間はないので、袋から出した焼海苔をそのまま巻く。それでも海苔の香ばしい香りが鼻孔をくすぐった。
「はい、出来上がり!どうぞ召しあがれ」
「お!サンキュー!」
すぐさま梅干しのおにぎりを手に取り大口を開けて頬張る姿が微笑ましい。
「うめえ!」
「そっか、良かった…」