第1章 君の中に墜ちる
多分畑を見たのは偶然なんだろうけど、ただ前を見ただけなんだろうけど、なんだか全てを見透かされているような妙な気分になり、私は慌てて立ち上がった。
「お茶なくなりそうだね!淹れてくるっ!!」
「ん?そうか?なら俺は熱い玄米茶でも頼もうか」
「わかった!待ってて、すぐ戻るね」
逃げるようにその場を後にして、厨においてあるやかんに水を入れ火にかける。
やかんの下でメラメラと揺れる火を見つめながらも、“あんたが欲しくて”と大倶利伽羅が言った言葉が頭の中で何度もループする。
すると、突如厨の戸が開かれる音がした。
振り向くとそこには大倶利伽羅がいた。大倶利伽羅のことを考えていたせいか途端に心臓がうるさくなる。そして二人きりの状況に戸惑いを隠せない。
そんな私なんて気にする様子もなく、大倶利伽羅は無言で棚からコップを取り出し、水を注いで一気に飲み干した。手の甲で口を拭う仕草が格好良い。今までは特に何も感じなかった仕草に胸が簡単にときめいてしまう。
お茶を注ぐ手がぎこちなくなる。そしてお茶を淹れながらも大倶利伽羅に全神経を集中してしまっている自分がいる。同じ空間にいる、それだけで異常なくらいドキドキしている。