第1章 君の中に墜ちる
楽しそうに笑いながら鶴丸は私の横に腰を下ろした。そして小さい練り切りを一つ手に取り、ポイっと口の中に放り込む。
「ねえ…鶴丸…」
「なんだ?」
「……欲しいって言葉は…そのままの意味しかないよ、ね…?」
「…?」
大倶利伽羅と太鼓鐘のやりとりを微笑ましく眺めている内に、ずっと頭に引っかかっていることがついつい口から出てしまった。慌てて口を抑えるも鶴丸の耳にはしっかり届いたようで、もぐもぐ動いていた口が止まり、ぱちくりと目を丸くしてこちらを見ている。
「あ、いや…その…何でもない…」
「ん?…その言葉なら、俺が知っている限りは自分の物にしたい、手に入れたい、って意味しかないと思うが?」
焦り言葉を濁すけど、鶴丸はそれだけ言ってまた練り切りを口に放り込む。
自分の物にしたい――
手に入れたい――
あの慣れ合いを嫌う大倶利伽羅がまさかそんな…?
「それがどうかしたか?」
「っ、あ、別に深い意味はないのっ!忘れてっ」
「何のことかは分からないが…誰かに言われたのなら、そのままの意味だろうな」
「…っ」
含み笑いをしている鶴丸。そして視線は私から大倶利伽羅のいる畑の方に向けられた。