第1章 君の中に墜ちる
【#4 夢と現実】
私は大倶利伽羅が好きだ。
これからは、どのような結果になろうとこの気持ちに素直に向き合うことに決めた。
そう決意を固めたのが数日前。だけど実際どのような行動に出ればいいのかさっぱり分からないでいた。
執務の合間の休憩時に歌仙が持ってきてくれた、一口サイズの色とりどりの練り切り。
四季折々の植物や風物詩をかたどる繊細な細工をほどこしたそれは、まさに歌仙が言う風流そのもので美しい。
食べるのが勿体ないと思ってしまう程綺麗なそれをそっと口に含むと、柔らかな白あんの甘みがふわりと口に広がった。
美味しい物を食べられる幸せをしみじみと噛み締めながら、庭が一望出来る縁側の一角に座りぼーっとしていると、遠くに見える畑に大倶利伽羅の姿。
今日の内番、畑仕事は太鼓鐘と大倶利伽羅だったっけ…
太鼓鐘が笑いながら大倶利伽羅の背中に飛びつくように抱きついているのが遠目でもわかる。
きっと大倶利伽羅は少し困ったような、嫌そうな顔をしながら「離れろ、暑い、仕事しろ」とかなんとか言っているんだろうな、と想像して思わずクスクスと笑みが零れた。
「きみが楽しそうで何よりだ」
「っ!、鶴丸っ…驚いた」
「驚かせるつもりはなかったんだが、驚いてくれたのならそれはそれで嬉しいな」