第1章 君の中に墜ちる
折角こんのすけが私の事を思って持ってきてくれたお話を無下にしてしまった。咎められるのを覚悟で謝ると、こんのすけは頬をむくれさせながら私を見た。
「想い人がおられると言うのは本当ですか?」
「いや、あの……、う…ん…ごめんなさい」
「私は断ったことを怒っているのではありません!あんず様に想い人がおられるなんて初耳です!どうしてそのような肝心な事をこんのすけに言ってくれなかったのですか!?」
「…その時は本気で忘れようと思ってたの…こんのすけの言うように岡田さんとならきっと幸せになれるって…その方が私にとってもいいんだって思って…でも結局は無理だった…」
本当にごめんなさいと頭を下げると、こんのすけはため息を吐く。
「あんず様の気持ちに気付けなかったのが悔しいんです。一番側にいたはずなのに…それにこんのすけはいつだってあんず様の味方ですよ!見くびられては困ります」
不満を顕にしながら、ぷい、と顔を背けるこんのすけをそっと抱き上げる。
「うん…そうだよね、ありがとうこんのすけ…」
「大好きだよ」とその小さな体を抱きしめると、「仕方ないですね」とこんのすけは困ったようにはにかんだ。