第1章 君の中に墜ちる
「え………、そ、それって…」
思いも寄らぬ言葉に顔を上げて、大倶利伽羅に視線を向ける。
あんたが欲しくて…――
その意味が知りたかったけど、大倶利伽羅はその後「悪かった」とだけ言い残して私の前から立ち去った。
結局それから大倶利伽羅とは顔を合わせることもなく、答えがわからないまま岡田さんとのデートの日を迎えた。いつも通り鞄には不動が待機してくれている。
これ以上引き延ばすのは彼にも悪いので、待ち合わせの場所で自分の思いを正直に伝え、誠心誠意謝罪した。
何を言われても仕方が無い、そう思っていたのに岡田さんは「今回は諦めるけど、あんずさんの恋が上手くいかなかった時は覚悟して」と笑いながら私を帰してくれた。
でもその笑顔は、少なくとも私には無理に作っているように見えた。
不動は「主が自分の気持ちと向き合ってくれたこと、俺は本当に嬉しいよ。主の想い人が誰かは聞かないけど上手くいくといいな!」と言ってくれた。
「あんず様!先方から聞いて驚きましたよっ!断ったって本当ですか!?」
「ご、ごめん…これ以上ないくらいにいい人だったんだけど……こんのすけには先に伝えておかなければならなかったのに事後報告になっちゃってごめんなさい」